第1回区議会定例会 閉会 ~減税基金条例の廃止~

2月16日から始まった今年最初の定例会が昨日、閉会しました。

今定例会は10年後の杉並区の将来像となる基本構想の審議をはじめ、平成24年度予算議案など重要な審議が目白押しでした。

こうした議案の一つに減税基金条例の廃止条例が田中区長から提案され、大きな注目を浴びることになりました。

減税自治体構想ならびに減税基金条例をめぐる主な経緯は以下の通りです。

平成19年4月
山田宏前区長が減税構想を選挙公約として掲げられ3期目の当選

減税自治体構想とは
「毎年、予算の一定額を積み立て、税収の増減に左右されない強固な『財政のダム』を築き、大規模災害などの緊急時の備えとするとともに、将来、積立金の利子収入を活用し、特別区民税の減税を行い、『低負担・高福祉』の地域社会を築く。」という構想です。

平成19年7月
山田前区長の諮問機関として学識経験者からなる「減税自治体構想研究会」を設置。
人口推計を基に杉並区における将来の財政シュミレーションを行い、減税自治体構想の意義や実現可能性について議論。(以降約1年半にわたり 全5回開催)

平成20年9月
リーマンショックが起こる

平成21年1月
「減税自治体構想研究会」から答申。減税自治体構想は実現可能との結論。

平成21年8月
減税自治体構想フォーラムの開催(セシオン)また漫画のパンフレットを作成し区民へ周知。

平成21年12月
区は減税自治体構想を実現するため新たに「減税基金」を設けることを公表。広報紙等にて区民からの意見募集を行う。

平成22年~
欧州債務危機が懸念されはじめる

平成22年3月
減税基金条例を議会が一部修正し、付帯決議を付けて成立させる。(賛成30 反対15)
スタート年度である22年度予算では減税基金に10億円を積む予算が成立。
また既存の災害対策基金が廃止される。

議会における主な賛成理由:
 (1)予算の一定額を基金に積むことによって毎年の税金をその年のうちに使い切ってしまう財政運営からの脱却が図れること
 (2)財政のダムを築くことで大規模災害が起こった際には迅速に復旧・復興財源に充てることができること
 (3)将来世代のために基金という正の遺産を残し、減税施策によって負担を下げること

付帯決議(議決された条例に対して議会が施行にあたり意見や条件を付けること):
 無理な積立によって区民サービスを低下させないこと。
 予算の一割にあたる財源を基金に積むことなどの基本方針等を変更する場合はあらかじめ区民や議会へ意見を聞くこと。
 この条例の趣旨等を区民へ周知すること。また条例施行後、一定期間ごとに検証すること。
 
平成22年5月
山田前区長が参議院選挙に出馬するため突然の辞任。

平成22年7月
田中良区長が当選される。

平成22年9月
田中区長の所信表明にて減税基金の凍結を表明。

~以下議事録より抜粋~

ここで、選挙を通じて多くの区民の方から尋ねられました減税自治体構想について申し上げます。
 私は、次世代に負の遺産である借金は残さないとの考え方や、財政の単年度主義を改め、予算を年度内に使い切ることへの批判については理解できないわけではございません。区民の間にも賛意をあらわす方がいらっしゃいますが、その一方で、行政需要が社会経済の変化に即して変わっていく中で、長期間にわたる基金への積み立てが現実的なのか、財政運営の硬直化を招くことはないのかという疑問の声があることも事実であります。これらのさまざまなご意見を踏まえて考えますと、区の世論を二分しかねない減税自治体構想につきましては、基本構想を策定する中で改めて議論していただき、合意形成を図る必要があると考えるものでございます。したがいまして、その間、減税基金への新たな積み立ては差し控えることとしたいと存じます。

平成22年12月
区民・議員・学識経験者などから構成される「基本構想審議会」が設置。

平成23年2月
議会の質疑で田中区長から減税自治体構想について否定的な見解が示される。

~以下 議事録より抜粋~

これまでの繰り返しになりますが、私は、一般会計予算の一割を目途に基金積み立てを行う減税自治体構想には否定的な考えを持っておりますけれども、区議会で減税基金条例が可決、制定されている事実を受けとめ、一たん基金への新たな積み立てを凍結し、基本構想制定の中で改めて論議することを申し上げております。

平成23年3月
田中区長にとって初の当初予算審議。
減税基金への新たな積立を凍結した23年度予算が成立。
同日 東日本大震災が発災

平成23年4月
区議会議員選挙 新生議会がスタート

平成23年9月
第5回 基本構想審議会にて、この審議会の中で減税自治体構想の是非については議論すべきでないとの意見が出される。

平成23年9月
議会の質疑によって区から平成24年度から減税基金を廃止する意向が示される。

~以下 議事録から抜粋~

具体的には、今基金のお話が出ましたけれども、財政調整基金の積み立ての原則、ルールというものを、総合計画の中で、こういった考え方、こういった指針でやっていくということを盛り込めないかということを現在検討しております。したがいまして、そういう中で、減税基金条例の扱いにつきましては、これは廃止するということで、第1回定例会のほうに廃止の条例を提案したいなというようなことを現在検討しているという段階でございます。

平成23年10月
基本構想審議会から基本構想の答申案が示される。
なお減税自治体構想についての是非は最後まで触れられず・・・

平成23年12月
区は減税基金条例を廃止するため広報を通じて区民から意見を募集

平成24年1月
廃止に対する意見募集の結果、24件の意見が寄せられる。(その大半が廃止に反対の意見だったとの指摘あり)

平成24年2月
田中区長から減税基金条例を廃止する条例が議会に提出。
また廃止を前提とした予算案も議会へ提出される。

平成24年3月21日
全議員を委員とする予算委員会にて採決

平成24年3月22日
議会最終日 本会議場で採決 (廃止に賛成40 廃止に反対5)⇒正式に決定

このように条例制定からわずか2年で廃止となりました。

ここまで長文となりましたので、私の見解は後日に記載します。

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